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☆第八回氷川短歌賞を終えて② 投稿作品☆

10月29日の「第八回氷川短歌賞選評会」に投稿された作品です!

【題詠】「橋」

一、板橋区短歌大会帰り道同じひと好き爺さんふたり                (かず)(をう)
二、夕焼けにやさしく橋は錆びついてわたしにたったひとりの母さん     鳥さんの瞼
三、あの人が叩いて渡らぬ石橋を爆破しましょう中距離恋愛           (ふ)沈子
四、憎悪たるタイムラインを降るとき橋の形に曲る親指            短歌練習
五、何パンか判別できない躯抱く横断歩道橋の暗がり              金森人浩
六、日本三大がっかりはりまや橋のように私を忘れないでいてくれるか         倉下柳
七、いくつもの橋を渡ってアキアカネひとりぼっちにもどるだけだよ        松本志李
八、でもきっと渡れない橋、知りながらせせらぎやまぬ心臓を抱く        玖嶋さくら
九、鉄橋を貨物列車が走りゆく子らが声あげ眺めた景色             藤井かほる
十、子を打った掌にまだ残る風を抱き短い橋が渡れずにいる            風ノ桂馬
十一、石橋を叩いて渡らぬ子供たちキャットウォークで眠る母親        コイケタツオ
十二、暗やみの橋からせせらぎを頼りにゲンジボタルの恋をみつめる      黒乃響子
十三、四体の天使舞い降り橋となり近づく冬へ立ち漕ぎをする          まつたく
十四、虹の橋渡ってゆきしくろちゃんのそこここに笑むハロウィンかな     西 幸恵
十五、名師橋袂に立ちて河面見てあの事故の日の白昼夢蘇る           土師敏男
十六、橋に見る残堀川へ降る雪のこなわたみぞれあどけなく消ゆ          月館桜夜子
十七、寸又峡手に汗にぎり歩を進めふるえる体ゆれる吊り橋            オコちゃん
十八、もどれない橋の向こうにあかあかと曼殊沙華さく死者のため息        塚本健司
十九、橋の上ふたりぼっちで身を寄せて眼下の水面に螢を探す           ミカヅキカゲリ
二十、 青きわたしが青き自転車とひたぶるに利根川橋をわたっていたころ  アカマツヒトコト
二十一、石橋を壊す友人叩かないわたくし共に怪我をしている          睦月くらげ
二十二、(危ないもんね夜明けの桟橋で踊っちゃ)一眼レフで海と向き合う   永永キヌ
二十三、からだぢゆう火薬の匂ひさせながらあなたの橋にこれから向かふ     岡本恵
二十四、渡ろうとすると崩れる橋がある並んで川を見ているだけの        池田竜男
二十五、歩道橋渡れば夏のはじまりでタイムテーブル見比べている        鈴木慶終
二十六、ぬばたまの夜を跨いだ鉄橋の音がしているわたしの国だ         みずすまし
二十七、螺旋なる時の流れの幾山河超えて来た橋悠々と見る                kei
二十八、海峡に橋を渡していくように君の訛りにひとつ頷く           斎藤君
二十九、この橋の下は五組の秘密基地二組のヤツらに渡してなるか       ぺろり
三十、 連絡を断つ誠実さ歩道橋信号待ったほうが早くて           カウ・リバー
三十一、ひゅるひゅると幻想見せる股屈み碧く痺れる天の橋立           きよし
三十二、黒竹輪がぶりとかじる母親の余命をつなぐ天橋立              風姿
三十三、橋渡しメルヘンユーモアナンセンスみんな笑顔に絵本のまちへ     藤田(しょう)
三十四、蒼空へ続く洗濯物の橋亡き叔母編みし児のクロシェ干す          かしわもち
三十五、橋なんかなくても跳べたTシャツをクリーニング屋のように畳む     ドルチェ
三十六、大好きの濁流のなか沈下橋あなたがふいにわからなくなる           福永十津
三十七、橋本は半世紀ひかる恒星だった。ウクレレを弾きハートを狩った。    奈良岡歩
三十八、星々に小さな橋を架けてゆくみたいだ「好き」を教え合うって       堀優季奈
三十九、冴えわたる夜の歩道橋を歩みつつ私ひとりのプラネタリウム         どんぐり
四十、 虚と実のあわいをなでるたおやかに浄瑠璃坂の小石川橋           (みやこ)(どり)

※記事の都合上スペース等の形式は統一しています。

次回のご報告では受賞作品を発表します!(ちんし)